2025年8月26日
都は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を機に新たに6つの施設を整備しました。6施設が大会終了後に円滑に開業できるよう、大会前の早期(平成30年から令和元年)に、運営事業者を選定するなど大会後の施設運営に万全を期してまいりました。そして、新型コロナウイルス感染症というかつてない逆境の中、2021年、東京2020大会は世界中に勇気と感動を届けることができました。
大会後は、各施設を都民の貴重な財産として将来にわたり有効に活用していくため、公共の施設としてスポーツをはじめ、施設のポテンシャルを活かした多目的な利用を推進し、都民が集う拠点を目指したこれまでの取組をまとめました。
A 東京2020大会を機に整備した都立スポーツ施設は、次の6施設です。
(括弧書きは、東京2020大会で実施された競技)
・東京アクアティクスセンター(水泳)
・海の森水上競技場(ボート、カヌー)
・カヌー・スラロームセンター(カヌー)
・大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場(ホッケー)
・夢の島公園アーチェリー場(アーチェリー)
・有明アリーナ(バレーボール、車いすバスケットボール)
A 東京2020大会開催後、仮設物の撤去や利用者サービス設備の整備などを行い、令和3年から令和5年にかけて順次再開業しました。
・東京アクアティクスセンター(令和5年4月)
・海の森水上競技場(令和4年4月)
・カヌー・スラロームセンター(令和4年7月)
・大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場(令和4年6月)
・夢の島公園アーチェリー場(令和3年10月)
・有明アリーナ(令和4年8月)
A 東京アクアティクスセンター、海の森水上競技場、カヌー・スラロームセンター、大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場、夢の島公園アーチェリー場の5施設は、指定管理者制度により運営されています。指定管理者制度とは、「公の施設」の管理に民間事業者等の有するノウハウを活用し、多様化する住民ニーズに効果的・効率的に対応していくことを目的とするものです。
有明アリーナは、公共施設等運営(コンセッション)方式により運営されています。都は施設の運営権者に運営権を設定し、毎年度運営権者から、運営権対価の支払いを受けるほか、事業年度が黒字の場合には、業績連動支払の支払いを受けています。
A 各施設は、東京2020大会のレガシーとして浸透し、施設の開業以降、着実に利用が進み、概ね9割を超える高い利用率となっています。
各施設では多くの国際大会や国内大会が開催され、スポーツ振興の拠点としての役割を果たしています。また、音楽イベントやCM・番組ロケ撮影、消防・水難救助訓練など、各施設の特性を活かした多様な活用が進んでおり、スポーツはもとより、様々な目的をもった方々にご利用いただいています。
施設名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
---|---|---|---|
東京アクアティクスセンター | ― | 100.0 | 100.0 |
カヌー・スラロームセンター | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
有明アリーナ | 97.3 | 100.0 | 99.4 |
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場 | 88.4 | 88.2 | 98.1 |
海の森水上競技場 | 83.1 | 78.0 | 87.3 |
夢の島公園アーチェリー場※2 | 81.6 | 74.5 | 83.5 |
施設名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
---|---|---|---|
海の森水上競技場 | 167 | 176 | 267 |
カヌー・スラロームセンター | 124 | 210 | 211 |
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場 | 89 | 99 | 137 |
東京アクアティクスセンター | ― | 87 | 92 |
有明アリーナ | 42 | 78 | 82 |
夢の島公園アーチェリー場※2 | 59 | 48 | 61 |
合 計 | 481 | 698 | 850 |
A 平成29年度に公表した施設運営計画においては、6施設合計で190大会の開催を見込んでいました。その後、国際大会や国内大会の利用が進み、令和6年度では6施設合計で232大会が開催されており、当初の目標値を上回る数の大会が開催されています。各施設は、大会のレガシーとして着実に活用されています。
施設名 | 計画 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
---|---|---|---|---|
東京アクアティクスセンター | 100 | - | 82 | 85 |
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場 | 23 | 33 | 40 | 47 |
夢の島公園アーチェリー場 | 20 | 62 | 41 | 47 |
海の森水上競技場 | 30 | 12 | 31 | 35 |
有明アリーナ | 10 | 7 | 17 | 10 |
カヌー・スラロームセンター | 7 | 4 | 8 | 8 |
合 計 | 190 | 118 | 219 | 232 |
A 施設の利用率は既に高い水準にあり、施設は大いに利用されていると考えています。
各施設の来場者数は、令和4年度・令和5年度は新型コロナ感染症の影響があったものの着実に増加し、令和6年度には、6施設合計で約270万人の方々にご利用いただきました。(計画値:約308万人)
引き続き、施設の管理者とともに、より多くの方にご利用いただけるよう取り組んでまいります。
施設名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
---|---|---|---|
有明アリーナ | 738,100 | 1,275,850 | 1,723,040 |
東京アクアティクスセンター | ― | 696,652 | 687,169 |
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場 | 89,240 | 97,403 | 130,254 |
海の森水上競技場 | 60,599 | 58,357 | 96,254 |
カヌー・スラロームセンター | 32,033 | 52,363 | 62,320 |
夢の島公園アーチェリー場 | 13,717 | 10,583 | 17,643 |
合 計 | 933,689 | 2,191,208 | 2,716,680 |
A 都では、スポーツを「する」「みる」「支える」「応援する」ことを通じて、都民一人ひとりのウェルビーイングの向上を目指すため、都民が身近にスポーツに親しむ場を提供していくこととしています。また、都立スポーツ施設は、大規模な競技大会の開催はもとより、アマチュアスポーツ、パラスポーツの振興などを念頭に、誰もが気軽に利用できるよう低廉な料金設定をする等、民間施設とは異なる役割も期待されています。こうした公共施設としての役割を果たすため、必要な運営経費を都が負担しています。
A 平成29年度に公表した施設運営計画においては、合計で約10.8憶円の歳出を見込んでいました。その後、スポーツ利用のほか、各施設の特性を活かした多様な活用を進めることで、令和6年度では有明アリーナに係る歳入を含めると、施設の運営に係る都の実質的負担は約4.1憶円まで縮減しています。
施設名 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 [暫定値] |
---|---|---|---|
東京アクアティクスセンター | 467 | 505 | 505 |
海の森水上競技場 | 251 | 171 | 171 |
カヌー・スラロームセンター | 157 | 159 | 159 |
大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場 | 84 | 72 | 72 |
夢の島公園アーチェリー場 | 16 | 13 | 13 |
有明アリーナ※ | ▲321 | ▲385 | ▲514 |
合 計 | 654 | 535 | 406 |
※有明アリーナは歳出なし。▲の数値は歳入(コンセッション方式の運営による運営権対価と業績連動支払の合計)。
A 当施設の競技水域内では、風波やボート等の漕艇による航走波が発生する場合がありますが、これらの波を抑制し良好な競技環境を確保するために、競技コースとウォーミングアップエリア等との境界、護岸沿いに消波装置を設置しています。
A 消波装置に付着した海洋生物が育ち大きくなると、重さのために装置本体が沈み、
機能が十分に発揮されないため、適切に維持管理を行う必要があります。
A 付着対策としては、専門家や競技団体の意見を聞き、最も経済的で効果的な対策である消波装置を覆うカバーの設置を行いました。これにより、当初、除去や対策費などに年1億円を要していた維持管理費を圧縮し、令和7年度予算では、清掃費用として1,600万円を見込んでおります。
なお、カバーを仮に5年毎に更新した場合、その費用を維持管理に含めて平均すると、年平均7,000万円になりますが、指定管理者とともに丁寧な維持管理を行い、費用の低減を図ることとしています。
A カバー設置後も消波機能を維持しており、大会に参加した選手からも、競技に支障はないとのコメントを得ております。
A 現在は、被覆カバーの設置により生物の付着を抑制しており、消波装置の機能に問題は生じておりません。