トップアスリート発掘・育成事業 第13期生育成プログラムが始まりました!

令和4年3月23日に認定されたトップアスリート発掘・育成事業の第13期生26名に対する「育成プログラム」が始まりました。

育成プログラムは、自ら選択した競技(ボート、ボクシング、レスリング、ウエイトリフティング、自転車、カヌー、アーチェリー)に必要な技術だけでなく、人格的に優れたトップアスリートになるための知識や能力、技術を身に付けることを目的として実施するもので、スポーツ科学だけでなく、アスリートが知っておくべき栄養学に至るまで、様々なプログラムが用意されています。

このたび、プログラムのスタートとなる宿泊研修が実施されましたので、活動の様子をご紹介します。

令和4年4月23日(土)
「スポーツ教育プログラム(1)『世界を目指す』」
講師 仙台大学 粟木 一博 教授

この「スポーツ教育プログラム」は、トップアスリートを目指すために必要となる自己教育力(自ら考え、競技力を向上させる力)を育むためのカリキュラムで、「コミュニケーションスキル」、「自己分析」、「メンタルトレーニング」、「スポーツ栄養学」等について1年を通じて受講するものです。

初めての講義となる今回は、粟木教授が事前に用意したカードを不作為にめくり、カードに書かれたものについて、選手が1分間の発表を行うショートプレゼンから始まりました。次々に発表していく選手たちのプレゼンテーションの講評を通じて、相手に物事を伝える際に大切なことを伝えるとともに、プレゼンした選手たちの経験は何か、一方でプレゼンをしなかった選手たちの経験は何かを問いかけ、認知とメタ認知という言葉を用いて、自分を客観的にとらえることの重要性を認識させるものとなりました。また、クローズド・クエスチョンを使ったグループワークでは、質問することで得られる情報について、耳からの情報だけでなく、目からの情報も重要であるということに選手たちが気付くものとなりました。

そのほかにも、イギリスの陸上400mの選手が、スケルトン競技に転向し、わずか4年で金メダルを獲得した話、大きな成功を収めるには1万時間もの練習が必要だというマルコム・グラッドウェルの「1万時間の法則(ten-thousand-hour rule)」など、興味深い話が次々に紹介されました。特に、ユースオリンピックで行われている大陸対抗(ミックスカントリー)競技種目の例は、国や性別を超えた交流が求められているという新しいスポーツのあり方であり、若い世代に響くものでした。選手たちは、講師との対話やコミュニケーションゲームを通じて、楽しみながらも真剣な姿勢で取り組んでいました。

講義を受講する第13期生

講義を受講する第13期生

コミュニケーションゲームの様子

コミュニケーションゲームの様子

「スポーツ教育プログラム(2)『特別講習』」

講師 第8期修了生 亀田 純一郎 選手(ボート)、沢目 真直 選手(ボート)

続いて、当事業を修了した先輩たちから、当時の思いや応募したきっかけ、大学生となった現在までの競技生活を踏まえて、後輩たちへの熱いメッセージを語っていただきました。第13期生は、国民体育大会や全国大会で活躍している先輩たちの体験談を熱心に聴き、質疑応答の時間では、トレーニングのことから生活リズム、勉学と競技の両立方法について、積極的に質問をしていました。また、実際にトップレベルで活躍されている先輩と自分たちの体力テストの結果を見比べることで、モチベーションも上がり、目標も明確になったようでした。

先輩の話を真剣に聞く第13期生

先輩の話を真剣に聞く第13期生

先輩に質問する第13期生

先輩に質問する第13期生

令和4年4月24日(日)
「トレーニングプログラム」

2日目にはトレーニングプログラムが実施され、筋力や柔軟性の測定やストレッチの指導等が行われました。学校で行う体力測定よりも機能的な測定が多く、初めての動作に苦戦しつつも、「こんなトレーニングがあるんだ」という新たな発見をしたという新鮮な表情や、やり遂げた後の楽しそうな表情が印象的でした。

選手たちは、プログラムが始まる前から自主的にストレッチをして怪我の予防に努め、測定前の練習段階では互いに声を掛け合い、切磋琢磨していました。また、正しいフォームを習得するために、自分のフォームを正面からだけでなく、横からも鏡で見ながら繰り返し確認していました。測定で感じた弱点について、克服するためのトレーニング方法をすぐに教えてもらいに行く姿も見られ、「これから世界を目指すんだ」という強い気持ちが感じられました。

これから8か月間の基礎・発展・応用トレーニングプログラムを経て、12月には2回目の測定が行われるため、選手たちがどのように変化していくか楽しみです。

筋力測定(腕立て伏せ)

筋力測定(腕立て伏せ)

筋力測定(お尻)

筋力測定(お尻)

筋力測定(片足立ち幅跳び)

筋力測定(片足立ち幅跳び)

柔軟性の測定

柔軟性の測定

このプログラムを通じて、第13期生の皆さんが技術的にも人格的にも大きく成長し、世界の舞台で活躍することが楽しみになるスタートとなりました。

※次回からは第13期生が自ら選択した競技(ボート、ボクシング、レスリング、ウエイトリフティング、自転車、カヌー、アーチェリー)に必要となる技術を実践的に学ぶ「競技別プログラム」での活動の様子についてご紹介したいと思います。