東京アスリート認定選手・インタビュー(58)
シッティングバレー 小方心緒吏

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【プロフィール】
おがた しおり
1985年生まれ 東京都北区役所/東京プラネッツ女組所属
東京2020パラリンピック競技大会 8位

中学3年生の時に、右大腿部の骨肉腫により人工関節手術を受け、小学生から続けていたバレーボールを断念。高校1年生の時に、母親の勧めでシッティングバレーボールの練習に参加し、競技の魅力に取りつかれました。17歳の時には早くも日本代表入りを果たした小方選手は、北京(2008)、ロンドン(2012)、東京(2021)と、3大会パラリンピックに出場。力強いスパイクでチームを引っ張る、日本代表のエースアタッカーです。

~東京大会に出場した感想を教えてください~

小方心緒吏選手選手の写真2

私は今までパラリンピックだと、北京とロンドンの2大会に出場しました。今回の東京大会は、今までにないホームグラウンドの空気感で、とても温かく、すごくいい雰囲気で試合ができました。

選手村の話になりますが、これまでの大会は、食堂が1階だけですごく広かったので、自分の席を見失いやすく、迷子になりながらご飯を食べていました。今回は、食堂が1階と2階に分かれていることで、すぐにご飯が食べられてよかったです。

食堂では、ボランティアの方が食事を取り分けてくれますが、今回は日本語が通じるおかげで、たとえばご飯の量を3分の1にしてほしいなど、細かいお願いもうまく伝えることができてありがたかったです。

~大会に向け、どのように準備をしましたか~

シッティングバレーボール女子チームでは、東京大会に出場できなかった選手が2人いました。1人は亡くなったため、もう1人は病気のためにチームを離脱することになってしまいました。これは大会の数か月前のことでした。2人の分まで精一杯、一生懸命やろう、チーム一丸となって頑張ろうという気持ちで、メンタルの方は作っていきましたが、チームの人が離脱するというのは慣れないもので、メンタルをしっかり保つのは難しかったです。

私は、チームではエースアタッカーで、点を取ってチームを鼓舞する役割があるので、私が落ち込んでいるとチーム全体も落ち込んでしまうと思い、空元気でもしっかり声を出して、みんなを引っ張っていこうと思いました。

プレーの面では、ルーティンの確認を早い段階からしていけばよかったと思います。トスアップの時にボールを一瞬浮かせるのがルーティンでしたが、大会の数か月前になって、反則を取られる可能性があると指摘されました。そこで、ボールを浮かせるのではなく、くるっと回転させるようにルーティンを変えましたが、新しいルーティンが馴染むまで、時間がもう少しあればよかったと思います。

~今後の目標を教えてください~

大きな目標は、もっとたくさんの人にシッティングバレーを知ってもらうことです。東京大会は残念ながら無観客でしたが、テレビやインターネットで、多くの方に競技のことを知っていただけました。「私もやってみたい」という声も多く、とてもうれしいです。

私が所属する東京プラネッツ女組では、公式のLINEとInstagramで、練習スケジュールや場所を発信していますし、各都道府県にあるチームもSNSで情報発信しています。

シッティングバレーをやってみたい方は、そちらへ連絡をいただければと思います。

全日本女子チームのうち半分の選手は、もともとバレーボール経験があったわけではありません。未経験の方でも上手くなれる競技だと思います。また、映像を見るとハードに思えるかも知れませんが、60歳を超えても多くの方がプレーしているなど、生涯スポーツとして息の長い競技でもあるので、ぜひ気軽にご参加ください。

観戦がしたいという方は、今(2021年12月時点)はコロナの影響で多くの大会が中止となっていますが、状況が落ち着けば、日本パラバレーボール協会のホームページに大会の情報が掲載されるので、そちらを見てみてください。

小方心緒吏選手の写真3

プレーヤーとしての目標は、世界で3本の指に入るアタッカーになることです。亡くなった齊藤選手が、よく私のことを「世界で3本の指に入るアタッカー」と紹介してくれていたので、その通りになりたいと思っています。そのためには、どんなボールが来ても打ち切るための体作りと、課題であるサーブの強化が必要だと思っています。

パリ大会まであと3年ほどしかありませんが、シッティングバレーボールを楽しみながら、笑顔でチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。

~モチベーションを保つ秘訣を教えてください~

私の2人の子どもは、東京大会を見てようやく、私が何をやっているのか分かってきたようで、練習に行くとき、「ママ頑張ってね!」としっかり応援されるようになりました。それがモチベーションを保つ秘訣になっています。最近では、小学2年生になる上の子どもとは一緒に練習に行っています。

また、私はゲームと読書が大好きで、大会中もよく自分の部屋に閉じこもってゲームと読書をしていて、私が部屋にいるのかどうか同室の選手が分からないくらい、存在感を消していました。ゲームと読書をしている間はその世界だけに浸れるので、すごく頭の切り替えになります。シッティングバレーを続けていく上で、仕事、家庭、競技をしっかりと切り替えていくことが大事だと思うので、今後もゲームと読書を続けていきたいと思います。

~今後どのような点に注目してもらいたいですか~

私の持ち味は、すごくパワーのあるスパイクを打てるところなので、そういった部分や切れのあるスパイクを決めるところに注目していただければと思います。

~応援してくれている方へメッセージをお願いします~

東京パラリンピック、また東京パラリンピック以外の場面でも、シッティングバレーボールを応援してくださりありがとうございました。今回、皆さまの応援がとても力になり、選手一人一人が、限界まで頑張れたと思っています。

私はバレーボールという競技が大好きです。障害を負ったとき、もう二度とバレーボールができないと思いすごく落ち込みました。でも、シッティングバレーボールという競技に出会えて、今こうしてパラリンピック等の大会にも出場できて、とても幸せです。今後も競技に対して誠実に、また一途に頑張っていきたいと思います。

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