東京アスリート認定選手・インタビュー(50) 中山日菜子選手(世田谷区)・長谷川鈴夏選手(世田谷区)ソフトボール(2019/12/5)

中山日菜子選手と長谷川鈴夏選手の写真

【プロフィール】
なかやま・ひなこ 1998年5月26日生まれ 日本体育大学所属
はせがわ・すずか 1998年7月19日生まれ 日本体育大学所属
2018年 東アジアカップ 優勝
2018年 全日本大学女子選手権 優勝

野球とともに3大会、12年ぶりにオリンピック種目に復活したソフトボール。金メダルが期待される種目で日本代表メンバー入りを目指す中山日菜子選手、長谷川鈴夏選手にお話を伺った。2人は今年20回目の大学日本一に輝いた強豪・日本体育大学の3年生、そしてともに左ピッチャーです。

【大会情報】

女子ソフトボール日本代表大会情報はコチラ ⇒ 日本ソフトボール協会HP

~ソフトボールを始めたきっかけを教えてください~

中山選手と長谷川選手の写真

中山選手:祖母と母と従妹がソフトボールの経験者で、小学校3年生の時に、従妹とソフトボールの練習をしてみたらとても楽しかったので、そのまま始めました。また、キャッチボールしている時に、祖父が「いい投げ方だ」と褒めてくれたことも、ソフトボールを始めるきっかけになったと思います。

長谷川選手:もともと父が野球をやっていて、私にソフトボールをやらせたいと思っていたそうです。小学校2年生の時、ソフトボールをやっていた友達から「見学に行くとお菓子がもらえるよ」と聞いたので、お菓子につられて見学に行きました(笑)。父の影響というよりも、お菓子につられたのが、ソフトボールを始めたきっかけです(笑)。

~中山選手から見た長谷川選手はどんな選手でしょうか?~

中山選手の写真

中山:グラウンドに立つとすごくクール。技術に関しては繊細で、細かいところまでビデオを見て研究をしたり、色々な面で徹底的に取り組むタイプで、とても努力していると思います。 でも、みんなに「クールだね」と言われる反面、実は凄く明るい面もあります。あまり表情に出さないタイプなので、そのギャップがいいと思います(笑)。

~長谷川選手から見た中山選手はどんな選手でしょうか?~

長谷川選手の写真

長谷川:とても頑張り屋さんで、人の見ていないところで努力するタイプ。あまり表には辛い表情を出さないで、自分の中で葛藤しながら努力している選手だと思います。でも、ソフトボールを離れると、とても明るくて、天然なところもあります(笑)。

~2人はともに左投手ですが、それぞれの持ち味を教えて下さい~

中山選手の写真

中山:ストレートが持ち味です。ツーステップ投法※1でライズボール(バッターの手もとで浮きあがる変化球)を投げる左投手はあまりいないので、そこは強みだと思います。メンタル面では、ピンチの場面で交代した時、緊張よりもワクワクする気持ちでマウンドに上がります。どんな状況でも楽しめるメンタルの強さは、自分の強みだと思っています。

長谷川選手の写真

長谷川:緩急を使って打者を翻弄するピッチングが持ち味です。マウンド上では意識して感情を出さないようにしています。試合を組み立てる役目のピッチャーが、感情を表に出してしまうと、野手が不安に感じるので、自分がしっかりと軸となって、常に冷静でいることを大事にしています。

※1ツーステップ投法…前に足を踏み出す際、スキップの要領で蹴り出した足で再度着地し、そのあとに踏み出す足を着くという投球フォーム。

~2人がグローブに縫い込んだ文字への思いを教えてください~

グローブに縫い込んだ文字

中山:自分は『いつも笑顔で』という文字が入っています。これは自分で考えたのではなく、親戚の方が「笑顔が素敵だね」といって、この文字を入れてくれました。ピンチの場面で暗い顔をしていたら、チームの雰囲気も悪くなってしまうと思います。自分だけではなく、メンバー全員が「笑顔で頑張って欲しい」という意味も込めて入れてもらいました。

長谷川:自分は『一球入魂』という文字を入れています。ピッチャーが投げる1球で試合が始まり、1球で勝敗が決まります。その1球に、応援してくれる人の想いや、自分の魂を込めて投げることで、必ず結果がついてくると思っています。

~2018年の東アジアカップで日本代表に選ばれた時の気持ちはいかがでしたか?~

中山:16歳以下の代表で選ばれていた時とは違って、日本代表ではボール1個分の精度やわずかな差が勝敗を分けるという厳しさを感じることが出来ました。

長谷川:日本代表を目標に競技をしてきた中で、実際にそういう立場になってみると、改めてアジア諸国における日本の技術の高さを感じました。日本独特の細かい戦術や、丁寧な守備などを、アジア諸国も取り入れようとしているのを肌で感じ、アジア全体の底上げをはかる上で、日本の存在はとても重要だと感じました。

~同じ投手として、ソフトボール女子日本代表のエース・上野由岐子投手に対する思いを聞かせてください~

中山:国体の時にお会いする機会があり、お話しをさせていただきました。技術だけでなく、考え方や言葉1つとっても凄い選手だと改めて感じました。

長谷川:小学校6年生の時に北京オリンピックで上野投手の活躍を見て、あんな投手になりたいと強く憧れました。通っていた高校と、上野投手が所属しているチームの練習場が凄く近くて、一緒に練習する機会がありました。考え方が他の選手とは全く違い、日本を背負っていくレジェンドというオーラに溢れている人でした。 上野投手からはよく「諦めるな」と言われていました。当時の自分は弱い部分もあって、すぐに逃げてしまいそうになりましたが、上野投手からいただいた「諦めなければ夢は叶う」という言葉を胸において、今も投げ続けています。

~東京アスリート認定選手になったことで、気持ちの変化はありましたか?~

中山選手と長谷川選手の写真

中山:認定していただいて、選手としての自覚と責任をより一層もつようになりました。人間として当たり前のことをしっかりと出来る選手にならなくてはいけないと思うし、ソフトボールで東京都を盛り上げていきたいという気持ちで、今頑張っています。

長谷川:東京都の認定アスリートになるまでは、そこまで東京に対する強い思いはありませんでした。今は、東京都に貢献できる場をいただくことができて、その感謝を結果で恩返しするためにも、さらに頑張ろうと思っています。

~東京2020大会、そして日本代表への思いを聞かせてください~

中山:技術はもちろん磨かなくてはいけないと思っていますが、誰もが応援したくなる選手になりたいと思います。日本体育大学では基本的な挨拶はもちろん、普段から人間性を磨くことが重要だと教わっています。日本代表として魅力ある選手、そして人間的にも魅力のある選手になりたいと思います。

長谷川:代表の壁はとても高いと感じています。代表に選ばれるには能力だけでなく、人間性も求められてくると思います。ずっと第一線で日本を引っ張っている上野投手はもちろん、同世代の選手だけでなく、自分より下の世代の選手も活躍しています。そこに自分がどう食い込んでいけるかを考えた時に、技術だけでなく、代表にふさわしい人間性を磨いていきたいと思っています。

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