東京アスリート認定選手・インタビュー(24)山崎悠麻選手(日野市、千代田区) バトミントン(2018/02/16)

山崎悠麻選手の写真

【プロフィール】
やまざき・ゆま 1988年4月8日生 NTT都市開発株式会社所属
2016年 アジア選手権 ダブルス3位
2016年 第2回 障がい者バドミントン選手権大会 シングルス・ダブルス優勝
2017年 ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際2017 シングルス優勝・ダブルス3位2017年 パラバドミントン世界選手権 ダブルスベスト4

東京パラリンピックで子供達に活躍する姿を見せたい!

~主婦から一転、世界で活躍するパラバドミントン選手へ~

山崎悠麻選手の写真1

小学2年生から中学3年生まで、全国大会に出場するなどバドミントン選手として活躍をしていた山崎悠麻選手。しかし、高校1年生の時に事故に遭い両足膝下の機能を失った。以降競技から離れ、スポーツとは無縁の生活を送っていた。そして23歳で結婚。翌年には第一子が誕生するなど、幸せな家庭を築いていた。主婦として母として日々生活を送っていた山崎選手が、もう一度競技を始めるきっかけになったのが、友人から教えてもらい偶然試合を観戦しに行った、2013年に東京で開催された全国障害者スポーツ大会だった。
「元々、バドミントンを真剣にやっていたこともあって、事故後もずっと心の奥底ではバドミントンをもう一度やりたいなと思う気持ちはあったんです。しかし車いす生活になって、中々始めるきっかけがなかったんです。でも、大会で活躍しているパラバドミントンの選手を見ていたら、やっぱりもう一度バドミントンを始めたい!と思う気持ちが強くなったんです。」
大会を観戦後、すぐ旦那様と両親にバドミントンもう一度始めたいと相談した。
「当時、一歳の長男の子育てもあり競技を始めることに不安もあったんです。その時の気持ちを素直に旦那に相談したら、やりたいことは何でも挑戦した方が良いと言ってくれて。両親も小学生からやっていたバドミントンをもう一度始めることにとても喜んでくれたんです。なので、もう一度挑戦しようと決めました。」

~パラバドミントンを始めてすぐに才能が開花~

山崎悠麻選手の写真2

バドミントンは、約7年やっていた経験者とはいえ、車いすでの競技は初めての経験。立った状態と車いすとでは目線の高さが低くなり、今までのタイミングで打とうとすると振りが間に合わず空振りばかり。しかし、すぐにコツを掴みラケットに当てることができるようになった。パラバドミントンを始めて1年、腕試しのつもりで出場した日本選手権でいきなりシングルス2位、翌年の世界選手権ではベスト8に入るなど好成績を残す活躍を見せた。この活躍に到るまで、厳しい練習に取り組んできたのはもちろんだが、家族の支えも大きかった。
 「昼は仕事、夜は練習。そして休日は1日練習の日も少なくありません。そんな時、両親や旦那がいつも子供達を見てくれています。2人の子供が居る私にとって家族の支えがなくて好成績を残すどころか、練習すらまともにできなかったと思うんです。なので、旦那や両親にはとても感謝しています。」

~家族のサポートに支えられながら、日本開催の国際大会で見事逆転優勝!~

山崎悠麻選手の写真3

昨年の9月に東京都町田市で行われた国際大会。数々の国際大会を経験してきた山崎選手にとっても、ここ日本で開催の国際大会出場は初めての経験だった。そんなホームでの試合で、山崎選手は見事逆転優勝を果たした。
 「今まで経験してきた海外での試合は、応援もあまり無い状況が多かったんです。ですが今回は、今までに見たことのない人数の観客に、聞いたことのないくらいの大きな声援。初めて”日本チャチャチャ”という応援も聞くことができました。そんな皆さんの声援がすごく嬉しくて、やる気に拍車がかかりました。」
 また、普段試合を見る機会のないお子様も、初めて試合観戦に訪れていた。
 「海外での試合が多いので、家族が試合を観に来る機会がほとんどないんです。でも今回は日本での開催ということで初めて子供たちにも戦う姿を見せることができました。試合が終わった後に子供が”ママ勝ったの~?”と駆け寄ってきてくれて、”勝ったよ”と伝えると”ヤッタ~”と満面の笑みで喜んでくれたんです。その笑顔を見て、疲れも一気に吹っ飛びました。」

~東京パラリンピックで、家族にメダルを届けたい~

山崎悠麻選手の写真4

国際大会での活躍と並ぶ、もう1つの目標は、パラバドミントンの競技人口を増やすことだ。現在、日本の競技人口は20数名ほど。練習場所がないだけでなく、練習相手がいないのが大きな問題の1つになっている。
 「パラバドミントン自体、知名度も低く競技人口も少ない。練習したくても、練習相手を見つけるのに一苦労なんです。なので、私が頑張って東京パラリンピックに出場すれば、競技の知名度も上がり、興味を持ってくれる人が増えるかもしれません。現に、東京アスリート認定選手に選ばれ、声をかけて下さる方も増えたんです。なので、東京パラリンピックという絶好のチャンスを逃すわけにはいかないんです。
 それに、今まで支えてきてくれた家族や子供たちに、東京パラリンピックという最高の舞台に立って頑張る姿を子供達に見せたいんです。今までの感謝をメダルという形で返していけるよう、これからも練習に励みます。」
 山崎選手の今後の活躍が楽しみだ。

~山崎選手の休日の過ごし方~

二人のお子様のお母さんでもある山崎選手。週末は、旦那様とお子様と公園や買い物に出かけることが多いんだとか。
 「私自身、家で遊んだりするのが苦手で・・・出かけることが好きなんです。なので、休日は子供たちと公園に行って遊んでいます。楽しく遊んでいる姿を見るのはやはり嬉しいですし、いつもは練習などで離れてる時間も多いので、休みの日は一緒の時間を過ごすようにしています。今では、私の趣味も”公園で遊ぶこと”になってきています(笑)。」
 お子様の話をしている時の山崎選手の表情は、競技中の真剣な眼差しとは異なり、温かい笑顔で母としての一面も垣間見ることが出来た。

~山崎選手の勝負飯と得意料理~

世界大会や国際大会に出場することの多い山崎選手。海外の食事が口に合わず、毎回調理道具持参で日本食を作っている。そんな山崎選手の勝負飯は”おにぎり”だ。
 「海外に行く時は、スーツケースの半分は食べ物で埋まるくらい調理道具や日本食を持参するんです。特におにぎりは、どこで作っても味のブレがなく食べるとほっとするんです。なので、気づけば毎回試合前にはおにぎりを食べています。」
 また、母として日々家事もこなす山崎選手。もちろん家族のために料理も作っている。そんな山崎選手の作る料理の中でお子様が特に好きなのが「うどんと唐揚げ」なんだとか。
 「子供はうどんなどの麺類が大好きなのでよく作ります。それと唐揚げも作ると毎回沢山食べてくれるので嬉しいですね。」