東京アスリート認定選手・インタビュー(23)森川海舟選手(品川区、目黒区) レスリング(2018/02/06)

森川海舟選手の写真

【プロフィール】
もりかわ・かいと 2000年5月30日生 自由ヶ丘学園所属
国民体育大会 50kg級 優勝(2016)
全国高校総合体育大会 50kg級 準優勝(2016)
全国高校選抜大会 50kg級 準優勝(2016)
国民体育大会 55kg級 優勝(2017)

同世代の王者から、世界の王者へ。

~もっと沢山の金メダルが欲しい!その一心で7連覇という偉業を達成~

森川海舟選手の写真1

小さい頃から、マット運動や体を動かす事が好きだった森川海舟選手。レスリングを始めたのは4歳の頃、格闘技好きの父親の勧めだった。

今では同世代のトップとして闘っている森川選手だが、レスリングを始めた当初は、誰かと闘うというその迫力に圧倒され、”怖さ”で足がすくんだという。大会に出ても勝てない日々。もうレスリング場に行きたくない。何度もくじけそうになった。転機となったのは幼稚園の時。初めて出場した全国少年少女レスリング選手権で見事初優勝。以後、小学6年生まで7連覇という偉業を成し遂げた。
 「初めて金メダルをもらった時に、もっと沢山欲しい!と思ったんです。両親やコーチもすごく褒めてくれたのが嬉しくて。この時から練習にも力が入るようになり、レスリングが楽しくなりました。」

~自分の為のレスリングから、仲間のためのレスリングに~

森川海舟選手の写真2

小学生では同学年同士での闘いだったが、中学生では他学年とも闘うようになる。小学生王者として挑んだ6月の全国中学生選手権(以下「全中」という。)38kg級でも優勝を期待されるも、1つ上の学年の選手に敗れて惜しくも2位。同学年で無敵を誇った森川選手にとって悔しいデビュー戦となったが、ここで”負け”を知る事でさらに勝ちたいという気持ちが強くなった。そして、周りからの励ましやサポートもあり、王者から挑戦者としての闘いの日々が始まった。
「小学生の時は、ただがむしゃらにレスリングに励んでいました。でも、中学生になるとそれだけでは勝てないと初戦で痛感して。また、部のメンバーやコーチ、両親に支えられているんだという想いが強くなり、”仲間”という気持ちが芽生えたのもこの頃でした。なので、自分のためではなく、一緒に頑張っている仲間のためにも負けるわけにはいかない。そういう気持ちで試合に臨むようになりました。」

11月の全国中学選抜選手権(以下「選抜」という。)38kg級では見事優勝。その後、中学2年生では全中38kg級優勝、選抜42kg級優勝、中学3年生では全中・選抜とも47kg級優勝と、階級を上げつつも優勝を重ね、中学生でも王者として君臨した。

高校生になるとレスリングだけ頑張っていた中学生の頃とは違い、大学進学も視野に入れた学業との両立が必要になった。遠征や合宿、試合などで授業を受ける事が出来ない日もあり、頭を悩ませた。そんな時、手を差し伸べてくれたのが友達やクラスメイトだ。
 「学校では毎日小テストがあるので、分からない事がある度にクラスの友達に教えてもらっています。受けられなかった授業がある時は、ノートを貸してくれたりと、友達やクラスメイトにはとても感謝しています。」
 森川選手の活躍は、こうした周りの支えがあるからこそなのだ。

~自分の意思を貫けば、勝てると信じ日々練習に取り組む~

高校1年生のインターハイは50Kg級に出場し2位。高校2年生のインターハイでは更に階級を上げて55Kg級に臨んだが1回戦負け。力が圧倒的に足りておらず、「今まで通りでは勝てない」と痛感した。

平成28年度、29年度のテクニカルサポート事業(※)のサポート対象選手となり、自分の体力や体脂肪を計測・数値化し、今の自分に足りないトレーニングなどのアドバイスを受け、身体づくりに励んだ。
 「テクニカルサポートを受けることで、自分に足りない部分が細かく解るようになりました。それに、試合の様子を撮影・動作分析もしてもらえるので、試合後はその動画を見ながら改善箇所を洗い出し、次に繋げています。」

また、年齢を重ねるにつれ、周囲が森川選手対策を行うようになったため、ライバル選手たちに勝つためには、組手や相手を崩す動作など、自身も苦手と自覚している不得意な部分をなくすよう、キツく厳しい練習を重ねなくてはならない。
 「相手を1つや2つ崩してから得意のタックルに入った方がより効果的なので、自分の意思を貫けば勝てると信じ、今は厳しい練習を重ねています。」
 それらの成果が実り、インターハイから2か月後の国民体育大会では55kg級で見事優勝。リベンジを果たした。

~日本国内だけでなく、世界で活躍できる選手になりたい~

各年代で常に王者として君臨してきた森川選手。オリンピック4連覇を成し遂げた伊調馨選手が“今後期待している選手”として森川選手の名前をあげたり、テレビなどのメディアで紹介されたりと、注目を浴びる機会も多くなった。そして、高校1年生で初めて臨んだ国際試合。アジア・カデット選手権では、体格の違いや力の強さ、何より選手の勝つことへの執着心に驚いた。会場の雰囲気に圧倒されたものの、結果は準優勝。自分のレスリングが世界でも通用したことで自信がついた。国際大会に出場した事で「世界で活躍する選手になりたい」という気持ちが芽生えた。

~森川選手の勝負飯~

森川海舟選手の写真3

森川選手の勝負飯は「カステラ」。
 試合の30分前に大好きなカステラを食べ、気持ちを落ち着かせている。しかも、食べるだけでなくお菓子を作るほどの甘いもの好き。
 「クッキーが好きで、作ってみたら美味しかったので、一時期よく作っていました。でもオーブンを使うのが面倒臭くて。なので、最近は冷やすだけで出来上がるレアチーズケーキ作りにはまっています。でも、僕はレアチーズケーキが苦手なので…。作ったケーキは家族に食べてもらっています(笑)」
 スイーツづくりは森川選手にとって気分転換にもなっているようだ。

~森川選手の休日の過ごし方~

森川海舟選手の写真4

日々レスリングの練習に打ち込む森川選手の楽しみは、”学校の友達と遊ぶ事”。計画的にというよりも思いつきで遊びに出る事が多いという。「友達と話している時に登山しよう!という話になり、その週の休日に高尾山に行きました。しかも、初心者コースではなく、上級者コースで(笑)。想像以上にキツくてクタクタになりました。でも、登りきった達成感と爽快感は格別でした!」
 気の合う友達との遊びのひとときをとても楽しそうに話してくれた森川選手からは、充実した高校生活を送っているということが伝わってきた。こうした時間が彼の競技生活を後押ししてくれているのだろう。

~森川選手の今後の目標~

世界の舞台を経験し、第72回国民体育大会を制した森川選手は、今後の目標も明確だ。「まずは、これからの試合1回も負ける事なく、国内で一番大きい大会、JOCジュニアオリンピックカップに高校3年生で出場して優勝したいです。それと、ちょうど20歳で東京オリンピックを迎えるので、出場して更に成長した姿を見てもらいたいです。」
 森川選手のこれからの成長と活躍に、目が離せない。

~今後の大会情報~

2018年2月 3日(土)~ 4日(日):関東選抜大会
3月27日(火)~29日(木):全国選抜大会
4月14日(土)~15日(日): JOCジュニアオリンピックカップ

※9月18日(火)~23日(日)に開催される世界ジュニア選手権(スロバキア・トルナバ)の代表選手選抜対象大会

(※)テクニカルサポート事業
東京都スポーツ文化事業団HP
http://www.tef.or.jp/sports-science/index.jsp

レスリング競技とは?
http://www.2020games.metro.tokyo.jp/taikaijyunbi/taikai/syumoku/games-olympics/wrestling/index.html