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アイコン:肢体不自由とスポーツ ~立位~肢体不自由とスポーツ ~立位~

立位の肢体不自由者の中には、上肢や下肢に切断や機能障害のある人、座ったり立ったりする姿勢維持の困難な人、脳性まひの人などがいます。

移動については杖や義足などを使用したり、自力歩行できる人もいます。また、義手を使用している場合もあります。

コミュニケーションの配慮とポイント

障害の部位や程度は様々なので、移動や物理的な行動などが難しいことがあります。障害の部位や程度によっては、介助する必要がないこともありますので、声をかけて介助が必要かどうかを確認してください。

移動を手伝う必要があれば一緒に

下肢に障害がある人は、段差や階段、手動扉があると一人で進めない場合があります。また、歩行が不安定で転倒しやすい人もいます。そのため、ドアの開閉や段差で介助が必要になる場合もあります。

雨の日など通路が濡れている場合に、杖や義足がすべり、転倒する可能性もあるので、特に注意が必要です。

イメージ図:階段を上るときは、斜め後ろから介助する
階段を上るときは、斜め後ろから介助する
イメージ図:階段を下りるときは、一段下で斜め前に立つ
階段を下りるときは、一段下で斜め前に立つ
文字の記入に困っていたら代筆を

脳性まひや脳血管疾患などの後遺症で不随意運動があり、震えのために字が書けないことがあります。また、右利きだった人が、まひにより左手しか使えないといった場合は、文字を書くことが困難になっていることもあります。

肢体不自由者が、書類などの記入で困っていたら、声をかけて代筆のお手伝いをしてください。

聞き取れないときは確認しましょう

脳性まひの人には、話をしたくてもうまく発音ができない人や、ゆっくりとしか話せない人もいます。そのようなときはわかったふりをせずに、一語、一語確認していきましょう。

最近は、スマートフォンやタブレットなどを活用することもできますので、コミュニケーションに役立てていきましょう。

肢体不自由者(立位)が取り組むスポーツ

立位の肢体不自由者の代表的な障害としては、片側まひ、切断、関節障害、機能障害などがあげられます。障害のある部位に配慮しながら楽しむスポーツから競技スポーツまで、様々な形で取り組んでいます。

スポーツだけでなく、リハビリとしての側面もあります。

※関節障害
膝や股関節に起きることが多い障害です。手術などで人工関節にしている人もいます。痛みや関節の動かせる範囲を確認して、無理のない角度で運動ができるようにしていきましょう。

卓球イメージ図:卓球
基本的なルールは、健常者の場合と同様で行われる。ラケットがうまく握れない人は、グローブをしたり弾性包帯を巻くなどの工夫をしている。
陸上イメージ図:陸上
基本的なルールは健常者と同様で行われる。スポーツ用義足は主にカーボン製で、板を曲げたような形状をしており、接地部分には、スパイクのようにピンが取り付けられている。
パラサイクリングイメージ図:パラサイクリング
競技として行われる自転車競技で、肢体不自由者や視覚障害者が行う。選手は障害の程度と使用する自転車により、4つのクラスに分けられる。

肢体不自由者(立位)と共にスポーツを楽しむために

障害の内容や程度によりますが、基本的には「やりたい」と思っているものに、工夫やアレンジを加えていくことで、一緒に楽しむことができます。

スポーツをする目的を知る

どんなスポーツがしたいのか、何を目的にスポーツをするのかを知ることがとても重要です。それぞれの楽しみ方やリハビリなども含め確認することで、それぞれの目的に合ったスポーツを勧めることができます。

体の動きを知る(できる動きの中で工夫する)

一人ひとり、動きが違ったり、動かせる状況が違いますのでその人のできる範囲の中で、スポーツをすすめていくと良いでしょう。利用者本人の体の動き(できること、できないこと)などを理解した上で用具やフォームなどの工夫をしていくと、できることも増えていきます。また、片側まひの場合、高次脳機能障害を有していることがありますので、観察により、障害の程度や状況を把握していきましょう。

※高次脳機能障害
けが(外傷性損傷など)や病気(脳血管疾患など)で脳が損傷したことによる、認知障害全般を指します。失語(言葉が出てこない)・失行(何をすれば良いかわからない)・失認(ものの認識ができない)のほか記憶障害、注意障害などがあり、日常生活や社会生活の参加が難しいことがあります。必ずしも十分に理解が進んでいない状況も見られますが、その程度などを把握しながらスポーツ活動ができるようにしていきましょう。

転倒に注意する(安全を考える)

いろいろなスポーツに取り組むことができますが、転倒には注意が必要です。立位で行うのか、それとも椅子に座って行うのか、さらに座位から立位への展開など、バランス能力や総合的な体力を考えて安全第一に選択してください。また、いつでも座れるように、椅子の準備をしておきましょう。

転倒のリスクを減らし、安全に、楽しく、ゆっくりとスポーツを行えるようにしましょう。

また、プールなどのすべりやすいところでは、一層、転倒への注意が必要です。



施設別対応のポイント(肢体不自由 ~立位~)

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