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アイコン:申込み・問合せ時の確認ポイント申込み・問合せ時の確認ポイント

障害者が施設を利用する前に、本人、あるいは介助者から問合せを受けることがあります。

障害の内容や、どのような活動をしたいのかなどを、できるだけ事前にヒアリングしておくことが大切です。

障害の内容を確認して安全な利用を

個人利用の場合

利用前に問合せをする人のほとんどは、利用に何らかの不安を感じています。障害の内容や程度について申し出があった場合は、しっかりと聞き取りましょう。申し出がない場合は、話の中で聞き取りができるのが理想です。障害の情報は、安全に施設を利用いただく上で重要なことになりますので、失礼とは思わず聞いてみてください。

団体利用の場合

現在は、団体内の障害者の内訳など、細かな申告はされていないことがほとんどのようです。しかし、今後、障害者の利用が増えていった場合、障害者の利用状況を把握しておく必要が出てくるかもしれません。人数報告書等に障害種別を記載し、利用団体に報告していただくなどの工夫で把握していくと良いでしょう。

利用者本人のニーズを確認する

利用についての問合せの際は、具体的に何をしたいのか、どの施設を利用したいのかを聞いてみましょう。

利用者本人のニーズが事前にわかると、施設としての対応も考えることができます。また、利用者本人の意向に沿えない場合にも、そのことを事前に伝え、別のスポーツの案内やその他利用可能な施設についての情報提供ができます。施設側の事前準備ができ、利用者本人としても自分のニーズが伝わっているので、スムーズな利用につながります。

施設の情報を事前に伝える

ハード面:駐車場や設備など

車いす使用者用駐車スペースの有無や更衣室、段差など施設状況を事前に伝えておきましょう。来館してから使えない、できないとなるとトラブルにつながる可能性もあります。事前に情報を伝えることで利用者の不安が解消され、当日、お互いに慌てることなく、スムーズに対応できます。

ソフト面:利用しやすい時間など

混雑している時間帯や、スタッフが少ない時間帯に来場していただいても、十分に対応できない場合があります。利用のニーズを確認した上で、空いている時間帯やスタッフの多い時間帯などをお知らせしておけば、利用者にとっても親切ですし、施設にとっても対応しやすくなります。また、スタッフの対応によってハード面の問題をクリアできることもありますので、お互いに情報交換ができるようにしましょう。

施設での工夫

スタッフ日誌で情報共有

エレベーターやスロープの設置など、施設面の不便解消には時間がかかります。しかし、スタッフの対応などのソフト面の工夫や努力で乗り切っている施設もあります。

●【 目黒区民センター体育館】
障害者の利用は断らずに、施設スタッフがマンパワーや知恵を出しあい、積極的に受け入れています。また、スタッフ間で連絡日誌をつけて、来館予定者の情報や対応例などを記載し、よりスムーズな受け入れに努めています。

●【 名古屋市障害者スポーツセンター】
職員によって対応が異ならないように、「チームでの支援」を行っています。個人利用としてご利用いただける各体育施設において、設備面、指導内容の引き継ぎで日誌を作成し、朝礼で内容を確認するなどして、施設内で情報共有を図っています。

施設オリエンテーションの実施

スポーツ施設は、すべての人々がわかりやすく安全に利用できるような配慮のもと、障害のある人もない人も、お互いを思いやり、安心してスポーツ活動ができるような環境を整えていくのが理想です。

障害者が利用する場合には、障害によって困ることは違いますが、施設全体をはじめに一度案内しておくことで、把握や理解が高まるとともに、自立した利用を促すことができます。また、施設側と利用者の課題などの情報も共有できます。受付をするときに、更衣室、シャワー、トイレなど、スポーツ施設以外の共用部分の利用方法の説明をすると、障害者は、より利用しやすくなります。

共用施設の利用に、共用部分についての障害別の対応は記載していますが、まずは全体オリエンテーションを実施しましょう。

障害者の全体オリエンテーション実施ポイント

視覚障害者の場合:「利用施設全体の状況・場所などがわからない」
  • 利用者本人が施設を使う動線に沿って、案内・誘導しましょう。
  • 一人で利用したい人、利用できる人には、点字ブロックや壁などを使い、誘導していきましょう。
  • トイレ・更衣室・シャワーなど共用施設では、設備に触ったり、使用したりしながら、わかりやすく説明しましょう。
  • スポーツ施設の中も同様に、器具に触れて確認しながら、置き場や使い方を説明しましょう。

アイコン:視覚障害とスポーツ視覚障害とスポーツ

聴覚障害者の場合:「掲示の情報ではわかるが、詳細はわからない」
  • 紙面などで施設説明、共用施設の注意事項などを作っておきましょう。
  • 館内を一緒に案内するときに、情報が伝わっているかを、一つひとつ確認しましょう。

アイコン:聴覚障害とスポーツ聴覚障害とスポーツ

肢体不自由者の場合:「更衣室、トイレなどの場所がわからない」
  • 全体を案内しながら、使用できるトイレや更衣室などの場所を案内しましょう。

アイコン:肢体不自由とスポーツ 〜立位〜肢体不自由とスポーツ 〜立位〜

アイコン:肢体不自由とスポーツ 〜車いす使用者〜肢体不自由とスポーツ 〜車いす使用者〜

知的障害者の場合:「施設の利用方法がわからない」
  • 利用者本人が施設を使う流れに沿って、案内をしましょう。
  • 絵や図、ふりがな付きの表示板などで案内や説明をすると、理解しやすいです。
  • ゆっくりとわかりやすい言葉で伝えるようにしましょう。
  • 介助者がいる場合、一緒に案内していきましょう。

アイコン:知的障害とスポーツ知的障害とスポーツ

このように一度全体の案内をしておくと、利用する側も施設側も相互に不安が解消できる場合が、多々あります。利用したい施設のみの案内ではなく、共用スペースについても説明できると、スムーズな利用につながります。また、椅子などの置き方、用具などの置き場所をスッキリと使いやすくしておくことで、すべての人が安全に利用することができます。

写真:用具を入れるカゴや棚

用具を入れるカゴや棚には、用具の写真や名前のシールを貼って、誰でもすぐに使える工夫をしています。
(埼玉県障害者交流センター)