オリエンテーション実施報告

2023年5月17日

デフリンピックの象徴となるエンブレムのデザイン案の制作にあたり、制作を担当する学生に向けて、5月10日(水)、筑波技術大学にてオリエンテーションを実施しました。

エンブレム制作を担う学生との集合写真

全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員長、太田陽介氏より

本日は、デフリンピック大会のエンブレム制作のスタートの日です。エンブレムを通して、東京の地で開かれるということが目で見て分かる形で、示されることとなります。

ぜひ多くの人の目に触れるエンブレム制作を通して、聴覚障害の人たちの大会で、社会を変えていくということを見据えて、みんなの心を一つにできる、大切なエンブレムを制作いただければと思います。

デフアスリート 川島選手、須田強化委員長とのトークセッション

デフバスケットボール日本代表選考メンバー
川島 真琴選手

埼玉県出身。現在20歳。15歳で初めての日本代表に選出され、2018年に開催されたU-21世界選手権で世界第2位に輝く。
2025年デフリンピック日本代表候補では、最上位ランクの強化指定に選出。

日本デフバスケットボール協会 強化委員会委員長
須田 将広氏

2005年のメルボルンデフリンピックに出場。2019年にポーランドのルブリンで行なわれた世界選手権にて、女子日本代表の監督を務める。現在は、日本デフバスケットボール協会 強化委員会委員長。
大阪・枚方で「ビバリード」というチームを立ち上げ、育成年代へバスケットボールの楽しさを伝える活動も行う。

◎デフバスケと出会ったきっかけは?

川島選手(以下、川)/私がデフバスケに出会ったのは、中学校3年生のときです。
進学予定だった高校の顧問の先生からデフバスケの存在を教えてもらい、日本代表を目指すための合宿に参加したのがきっかけでした。

須田強化委員長(以下、須)/私がバスケットを始めたのは、実は大学からでした。それまでは小学校2年生から空手をしていました。高校は一般校に通っており、聞こえないということもあって、集団競技は難しいのではという状況に置かれ、個人競技の空手をずっと続けていました。

その中で、バスケの神様と言われたマイケル・ジョーダンや、漫画スラムダンクを読み、バスケへの関心が高まり、大学に入ったのをきっかけに、デフバスケを始めました。当時は、同好会のような感じで、やりたい人同士で集まり、何となく楽しくバスケをやるというような感じでした。卒業後、デフバスケの日本代表のことなど、情報をいろいろいただき活動していく中で、選手として選抜されました。

◎デフバスケとは?

川/デフバスケは、耳がきこえない人が集まってバスケをやる競技です。コミュニケーションを取るために、今ではサインバスケというものを使い、バスケをやっています。

須/音声を話す学生さん、手話を使わない学生さん、聴覚活用をされる学生さん、いろんな方がいらっしゃると思います。大きく分けると、①日本語を話す人、②難聴の方で声を出しながら手話を使う人、③全く聞こえず手話だけを使い、視覚的な情報を活用する人がいます。3者が歩み寄った、着地点での新しいコミュニケーション方法を何とかつくれないかと思って考えたのが、「サインバスケ」です。

◎日頃、どのように練習しているのですか?

川/今は埼玉と東京で活動している、2つのチームに入っていて、1週間に1~2回、基本的に、土日で練習しています。年齢が私より上の人が多い中で対人練習をして、自分のスキルを磨いています。

◎2025年 デフリンピックの東京開催への想い

川/東京でデフリンピックを開催されるということを知り、この大会に出たいと強く思いました。今まで、世界大会は2回経験したのですが、デフリンピックは経験したことがありません。競技を通して、日本の中で、デフリンピックの存在を数多くの方に知ってもらえたらいいなと思います。

須/デフリンピックは、歴史が非常に深い大会です。その歴史の中で、初めて東京で開催されることになります。日本生まれ、日本育ちですので、ぜひ国内の皆様からご協力をいただきながら、今までの人生の全てをかけるくらいの気持ちで、皆さんと一緒に、デフリンピックを盛り上げていきたいなと思っています。
その思いを形にする一つとして、デフバスケの女子代表が、まずメダルを取るということを大変強く思っています。

◎デザイン案の制作を担う学生へのメッセージ

川/デフリンピックを数多くの方に知ってもらうために、デフリンピックの顔となり、たくさんの方に見てもらえるようなエンブレムを期待しています。

須/デフリンピックがこの日本で開催される、長い歴史の中で、初めての自国開催というのは非常に大きなことだと思います。その中で、家族や友人や多くの方に応援してもらえるような、多くの人の気持ちを動かせるようなデザインをぜひ考案してもらえたらなと思います。

全日本ろうあ連盟理事(デフリンピック運営委員会 事務局長) 倉野 直紀氏より

2025年のデフリンピックは、デフアスリートが主役になることをコンセプトにしていますが、アスリートだけでなく、皆さんも主役の一人です。デフリンピックでは、デフアスリートとしての、夢の舞台に位置づけられていますが、そのデフリンピックに皆さんも夢を持って挑戦していただきたいと思っています。

デフリンピックは、きこえる人、きこえない人が共に手を取り合って、バリアをなくしていく、共生社会を実現させる、きこえない人が生きていける社会をつくることを目指しています。

日本国内には何万人もの聴覚障害の子供たちがいます。そのお子さんたちが、皆さんが制作する2025年大会のエンブレムを見て、これをろう者がデザインしたのだ。自分もいつか、こういうふうになれるのではないかという夢を持っていただけるのではないでしょうか。そこに夢を抱くだけではなく、今後のきこえない子供たちに新たな種を渡してもらえるようなものにしてもらいたいと思っています。そういった挑戦をこの場でしてもらえたらと思います。

学生のコメント

私はデフサッカーをやっており、東京大会を目指しています。私は、選手としてだけでなく、他の関わり方もしたいと思っていたときに、この話を聞き、ぜひ参加したいと思いました。デフスポーツの存在がオリンピックやパラリンピックに比べると低いと思っており、せっかくデフスポーツを知ってもらえるチャンスがこの東京で開催されるデフリンピックなので、エンブレムには、未来のデフの子供たちが活躍できる機会が増えるものにしたいという思いを込めたいです。

大学の先生にお声がけをいただいたことがきっかけで、エンブレム制作に参加することにしました。未来のきこえない子供が、壁を乗り越えられるような、希望を与えられるようなデザインをつくってみたいと思います。

今後のスケジュールについて

デザイン案の制作がスタートし、8月下旬ごろにグループワークにおいて、複数案から都内の中高生の投票により決定する予定です。

手話通訳・ユニバーサルコミュニケーションを使用したオリエンテーションの様子

問合せ先

東京都 生活文化スポーツ局国際スポーツ事業部事業調整第二課
電話 03-5388-3692
メール S1120906(at)section.metro.tokyo.jp

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