ずっと泳ぎ続けてきた。強い気持ちでパリに挑みたい

生後8カ月のときに初めて泳ぎを経験して以来、ずっと泳ぎ続けているという成田実生選手。17歳の若きスイマーは、400m個人メドレーでパリ2024大会への切符を掴んだ。中学時代から頭角を現わし、数々の記録を打ち立ててきたが、「オリンピックは特別なもの」と語る成田選手に、パリ2024大会への意気込みや地元葛飾区について語ってもらった。
(プロフィール)
なりた・みお 2006年12月18日生まれ。東京都葛飾区出身。スポーツクラブ ルネサンスKSC金町24所属。2022年世界選手権の日本代表選考会400m個人メドレーで2位、世界ジュニア新記録を樹立。2023年JAPAN OPEN200m・400m個人メドレー優勝、200m背泳ぎ優勝。2024年国際大会日本代表選手選考会200m3位、400m個人メドレーで優勝。パリ2024大会に出場決定。

オリンピックに行くぞという強い気持ちが勝因

記者‐2024年3月19日に行われた日本代表選手選考会で、女子400m個人メドレーで1位になった瞬間に何を思いましたか。

無我夢中で泳いで、ゴールタッチして電光掲示板を見たときに「決まった!」と嬉しさがこみ上げてきましたが、徐々に安心する気持ちが生まれて涙が出てしまいました。
日本代表選手選考会が終わったばかりの頃はあまり実感がなかったですが、最近では「頑張ってね」と声をかけてもらう機会が増えてきて、私は本当にパリに行くんだ、オリンピック選手になったんだと実感が湧いてきています。オリンピックは世界最高峰の大会だから、これまでの大会とは少し気持ちが違います。特別感がありますね。

記者‐1位になれた勝因はどこにあるのでしょう?

絶対に勝つぞという強い気持ちかな。最後は気持ちの強い選手が勝つみたいなことをよく聞いていて、本当にそうなんだと思いました。
 日本代表選手選考会に向けて2月に合宿を行ったのですが、その時にもう練習したくないという気持ちになって、練習に全然集中できなくなりました。そこでコーチとじっくり話して、何に対して不安やモヤモヤを感じているのかを全部吐き出したんです。
練習したくなかったのは、不安だったからだと思います。日本代表選考会前にいくら泳いでもベストタイムが出ないことが何回かあって、このままで大丈夫なのかとマイナス思考になっていたんですね。コーチとの話し合いのおかげで気持ちが整理されて、もうやるしかないと覚悟が決まりました。

後半の追い上げに注目してほしい

記者‐400m個人メドレーの練習で気をつけていることはありますか。

個人メドレーは、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順に泳ぎます。今までは最初のバタフライで周りの選手と差がついてしまっても、他の泳法で追いつくという感じでした。特に海外の選手はバタフライが早くて、出だしで差がつくと自分のレースプランで泳げないので、日本代表選考会前はバラフライの練習に力を入れていました。

記者‐観客としてどこに注目すると、400m個人メドレーをより楽しめるでしょうか。

個人メドレーは個人種目と違って4つの泳法で力の配分を考えて、体力を維持しながら泳ぎ切る必要があって、どれだけ得意なレースプランに持ち込めるのかが勝負になります。私は後半から追い上げていくのが得意なレースプランなので、後半の泳ぎに注目してください。

葛飾区内のプールを総ナメ。泳いだ後のアイスが嬉しかった

記者‐葛飾区のご出身ですね。葛飾区内で思い出深い場所はありますか。

私が卒業した小学校では、毎年1回、全校生徒が参加する徒歩遠足で、水元公園に行っていました。今もワンちゃんのお散歩などでよく行きます。他には金町公園です。この公園には屋外プールがあるので小さいころに遊びに行っていました。奥戸総合スポーツセンターのプールや、水元総合スポーツセンターのプールも。結局全部プールなんですけど、プールで泳いだ後にアイスを食べたりするのが楽しみでした。
けど何と言っても、KSC金町※ですかね。生後8カ月のときにお母さんと一緒に初めて泳いだのもKSC金町だし、今も週6~7日は練習に通っています。ここに来て泳ぐのが自然なことというか、生活の一部だと思っています。

※KSC金町は2024年に株式会社ルネサンスが運営を譲り受けスポーツクラブルネサンスKSC金町24となっています。

声援が届くと力になる!

記者‐最後に応援してくれる方にメッセージをお願いします。

これまでの試合でも、プールに入場するときにたくさんの声援を送ってもらいました。会場中に声援が「わー」と響いてきて、私もテンションが上がり、頑張るぞという気持ちでいっぱいになりました。パリ2024大会では、決勝に進んでメダル争いに食い込むことを目標に頑張ります。応援が力にもなるので、みなさん応援よろしくお願いします。