自分の人生を輝かしてくれたゴールボールで、メダルを獲得したい

パラリンピック特有の競技・ゴールボールで、男子日本代表に選ばれた萩原直輝選手。ボールの中の鈴の音や選手の足音など音を頼りに激しい攻防を繰り広げるゴールボールで、守りの要となるセンターを務める。パラリンピック初出場への思いやゴールボールの魅力。そしてゆかりの地である新宿区での思い出を語ってもらった。
(プロフィール)
はぎわら・なおき 1996年10月28日生まれ。東京都稲城市出身。LINEヤフー株式会社所属。18歳の時に視力が低下するレーベル遺伝性視神経症を発症。主治医の紹介でゴールボールを始める。2023年MONEY DOCTOR パラスポーツスペシャル 第30回日本ゴールボール選手権大会男子予選大会2位。2024年VANDA Goalball Nations Cup2位。

ゴールボールとの出合いで人生が変わった

パラリンピック出場が夢だったそうですね。

そうです。僕はゴールボールを始めて3年目の2017年に日本代表の強化指定選手になりました。この時はまだ強化指定選手になれて嬉しいという気持ちのほうが強く、パラリンピックは遠い目標でした。
しかし強化指定選手に選ばれてから、ポジションをウイングからセンターに変えたことで、センターなら自分にも可能性があるかもと思うようになりました。ゴールボールでセンターは守備の役割を担います。ボールの中に入っている鈴の音や相手チームの選手の足音を頼りに、ボールの飛んでくる方向を見極めて素早く動き、ボールを止めるディフェンス力が重要なセンターが自分には合っていたんです。選手としての力が開花したというか、一気に伸びていきました。

パラリンピックでの目標を教えてください。

やはりメダル獲得です。日本男子チームは現在、世界ランキングで6位(2024年1月31日現在)につけているので、メダルに手が届く位置にいます。それにゴールボールに出合って、自分の人生が輝くようになりました。目が悪くなってむしろ自分の人生が充実し始めたと感じています。パラリンピックでは競技者として全力を出しきりたいです。

繊細で激しいゴールボールの魅力

ゴールボールの魅力はどんなところにありますか。

障害の程度に関係なく、全員がアイシェード(目隠し)をすることで同じ条件で参加でき、思いっきり身体を動かせるところに魅力を感じています。
相手チームから投げられたボールがどの方向に向かってくるのかを、神経を研ぎ澄まして音で判断する。とても繊細だけど、身体全体を使ってボールを止める激しいスポーツでもあります。
実際に観戦すると印象が変わると思います。僕は中学高校と硬式テニス部に所属していてスポーツは全般好きでしたが、ゴールボールを初めて経験した時に、アイシェード(目隠し)をしているのに、こんなに選手が激しく動くのかと驚きました。試しに練習してみたら、何も見えない状態で動くことが単純に怖かったし、こんなに激しいスポーツはやりたくないと思ったくらいでした。今までやってきたスポーツと比べても群を抜いてハードですが、やればやるだけ奥深さを感じます。

新宿駅はいつも移動の起点だった

東京ゆかりパラアスリートとして、ゆかりの地は新宿区だと聞いています。新宿区内で思い出深い場所はありますか。

僕は東京都稲城市出身で、小中高と稲城市内の学校に通った後に、服部栄養専門学校に進学しました。通学もそうだし、どこかに行くには必ず京王線を利用していて、新宿駅はなじみがあります。専門学校の同級生とバスケットボールをやったりするのに新宿区立大久保公園にはよく遊びに行っていましたね。
それから出向く機会は少ないですが、現在所属しているLINEヤフー株式会社の本社も新宿区です。

応援の声に力をもらって、結果を残したい

最後に応援してくれる方にメッセージをお願いします。

稲城市ホームタウンアスリートに認定いただいていて、先日壮行会を開いていただいたのですが、みなさんに応援いただいて力をもらったと感じました。僕が障害者になった時にはまだ住民票が稲城市にあって、障害者支援など市役所の方々にとてもお世話になりました。だから恩返しできたらという思いもあって、パラリンピックで良い結果を出したいです。
観客のみなさんは、タイムアウトや「ゴール」と審判が言った後などは声を出せますが、プレー中は静かに観戦するのがルールです。慣れるまでは応援しにくいかもしれませんが、声援は確実に僕に届くし、応援いただけると本当に励みになります。応援よろしくお願いします。