3 度⽬のパラリンピック。⾃分らしいストロークで納得できるレースに

カヌー会場がある江東区で⽣まれ育ったパラカヌーの瀬⽴モニカ選⼿。東京2020 パラリンピックでは貴重な経験となった地元開催で7 位の成績をおさめた。あれから3 年経った瀬⽴選⼿は、パリに向けてどんな練習を積み重ねてきたのか。パラリンピックへの意気込みなどをうかがった。
(プロフィール)
せりゅう・もにか 1997 年11 ⽉17 ⽇⽣まれ。東京都江東区出⾝。パラマウントベッド/江東区カヌー協会所属。中学から江東区カヌー部に所属。⾼校1 年⽣の時に事故に遭うものの、1 年間のリハビリを経て⾼校2 年⽣の時に競技に復帰。以来数々の成績を樹⽴。リオ2016 パラリンピック⼥⼦(KL1)8 位、東京2020 パラリンピック⼥⼦(KL1)7 位

パラリンピックはチームジャパンで戦う場所

パラリンピックには3⼤会連続出場ですね。

3⼤会連続出場は嬉しいことですが、パラアスリートの中には夏冬通算で9度の出場というレジェンド ・⼟⽥和歌⼦選⼿がいらっしゃるので、⾃分はまだまだ若⼿のつもりでいます。
出場するからには成績を残したいと思っていますが、それよりも⼤切なのは⾃分が納得できるレースをすることです。レースが近づけば緊張もするし、弱気になることもありますが、そこで負けずに正⾯から⽴ち向かって良いレース展開にしたいです。

パラリンピックは瀬⽴選⼿にとってどんな場ですか。

パラリンピックは他の競技の選⼿たちと選⼿村に⼊って、同じような⽇程でレースに挑むのでチームジャパンという感覚が強くなります。
2016 年に初めてパラリンピックに参加した時は、右も左も分からないまま選⼿村に⼊ったので、横のつながりができたことが嬉しかったです。相部屋で⼟⽥選⼿と⼀緒だったので、どんなトレーニングをしているのかなど、たくさん質問しました。パラカヌーの競技⼈⼝は少なく、情報共有できる場も多くありません。⾃分のトレーニング⽅法が正しいのかと悩むこともあって相談したら、すごく共感してもらえました。競技は違いますがアドバイスが参考になって⼼強く感じました。

⼀瞬でレースが決まるスピード感が⾒所

パラリンピックに向けて、どのような練習を⾏っていますか。

これまで培ってきた技術を再確認して、どれだけ湖⾯が荒れても、どれだけ⾵が吹いても、しっかりとしたストロークをつくること。⼒を抜いて、落ち着いて冷静にパドリングすることに重点を置きながら、何本漕いでも⼀定の再現性を保つことを意識しています。
東京は海⽔でしたが、パリは淡⽔です。海⽔と⽐べて淡⽔は、しっとりとした⽔質でパドルに吸いつきます。パリの会場は横⾵が強いから湖⾯が荒れやすい。パラカヌーは⾃然相⼿の競技なので、そうした情報を海外の選⼿から集めたりしながら、会場をイメージして練習しています。

パラカヌーの魅⼒を教えてください。

200mの直線を誰が⼀番早くゴールできるのかを競う、とてもシンプルな競技です。トップクラスは200mを1分もかからずゴールするので、スピード感を楽しんでほしいです。
私の強みはスタートダッシュです。パラカヌーはカヌーが停⽌した状態からのスタートなので、スタート時に腕の⼒だけで、いかに早く加速するかが⼤事。⼀気に⾶び出て、後⽅との差をどんどん開いていくところは⾒所だと思います。

今も昔も変わらず深川っ⼦

東京育ちアスリートとして、江東区から推薦されています。江東区での思い出を聞かせてください。

⼤会や合宿で離れることも多いのですが、今でも⽣活の拠点は江東区です。根っからの深川っ⼦ですが、最近は清澄⽩河あたりがオシャレになってビックリしています。私が⼦どもの頃はパジャマで歩けるくらいの場所だったのに…。
深川は 「深川⼋幡祭り」というお祭りが毎年⾏われていて、⼦ども神輿を担がせてもらったりしてきました。お祭りへの熱気は半端ない地域ですね。私は世界選⼿権の時期とかぶるのでお祭りに参加する機会が減りました。それが少し残念です。

⾃分を突き動かすエネルギーになる応援の声

最後に応援してくれる⽅にメッセージをお願いします。

前回のオリンピックは、何も考えずにただ頑張ることにフォーカスできましたが、この3年間はけがもして苦しい状況が続きました。そんな時に周りの⼈から「 応援しているよ」「頑張って」と声をかけてもらったことが原動⼒になったと強く感じています。応援してくださる⼈の声が、こんなにも⾃分を突き動かすんだということに⾃分でも驚きました。みなさんの応援は私にとって最⾼のエネルギー。ぜひ⼝に出して「 頑張れ!」と応援してほしいです。