⼩学⽣の頃から頭⾓を現し、フェンシングの世界トップレベルにまで上り詰めた松⼭恭助選⼿。男⼦フルーレ⽇本チームのキャプテンを務め、チームをけん引しながらオリンピックでのメダル獲得を⾒据えている。「フェンシングの魅⼒を知ってほしい」と話す松⼭選⼿に、パリ2024 ⼤会への想いや愛着のある地元台東区についてうかがった。
(プロフィール)
まつやま・きょうすけ 1996年12月19日生まれ。東京都台東区出身。株式会社JTB所属。4歳からフェンシングクラブに通い始め、小学5年生で世界大会初出場。以降、多数の国際大会においてメダルを獲得。世界選手権2023ミラノ男子フルーレ団体戦で金メダル、2024フェンシングアジア選手権・男子フルーレ個人戦で金メダル獲得。男子フルーレ日本チームのキャプテンを務める。
一瞬で攻守が変わる激しい攻防戦。フェンシングで世界を突く
- フェンシング 男子フルーレ
- 松山 恭助 選手
- 台東区
純粋に真剣勝負を楽しみたい
オリンピック出場おめでとうございます。東京大会に続き2度目の出場ですね。
ありがとうございます。2度目の出場ということで、東京大会の時とはまた少し違う緊張感はありますが、当日はあまり身構えすぎず、これまで蓄積してきたことを発揮して、純粋に真剣勝負を楽しみたいと思っています。
オリンピックに向けて確実にいい準備ができているという実感があるので、この緊張とうまく向き合いながらプレーし、メダル獲得へとつなげたいです。
松山選手にとって、オリンピックとはどんな場でしょうか。
オリンピックには、オリンピックにしかない空気感があって、競技者にとっては特別な思いがある大会だと思っています。特にパリ2024大会は、フェンシング発祥の地であるフランスで開催され、グラン・パレという素晴らしい会場で試合に臨むことができるのは、フェンシングプレーヤーにとって非常に光栄なことです。またとない機会にチャンスが巡ってきたことが嬉しいです。
剣を交えながらの激しい攻防と緊張感
フェンシングは、どんな競技でしょうか。
フェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルという3種目があります。フルーレは、胴体部分が有効面(得点になる範囲)で、先に攻撃を仕掛けたほうに攻撃権を与えられるため、攻撃権がどんどん移動していくスピード感、駆け引きが魅力で、僕もフルーレの選手です。エペは全身が有効面になり、フルーレと同じように剣で突くのが基本的な動作ですが、フルーレよりもルールがシンプル。サーブルは上半身のみが有効面で、突くだけでなく斬るという動作が入り、3種目の中で一番ダイナミックです。
それぞれに魅力がありますが、初めて見る方にはルールは難解です。会場に置かれたランプを見れば、点灯している側の選手にポイントが入ったことがわかるので、ランプを見ると勝敗もわかりやすいです。
フェンシングの魅力を一言で表すとしたら何でしょう。
一言では難しいですが、1セットはたったの3分で、そのなかで攻守がどんどん入れ替わっていきます。相手が攻撃を仕掛けて、それを防御して反撃して、また防御してと、剣を交えながら進んでいく試合は、一瞬一瞬が見逃せないくらいの緊張感と迫力があります。フェンシングはピストと呼ばれるコートの上で行うので、実際の試合を見る機会は少ないですが、一度でも観戦してもらえると、魅力が伝わると思っています。
応援の声が嬉しい。台東区は人がとても温かい
台東区のご出身ですが、地元への愛着が強いと聞いています。
そうですね。台東リバーサイドスポーツセンターで行われていたフェンシングクラブに、兄と一緒に参加したのが4歳の時です。台東区を象徴するような浅草の雷門も実家から歩いていける距離にあって、台東区は生活の一部でなじみすぎていて、思い出の場所や好きな場所を挙げるのも難しいくらいですが、僕は何より台東区の人たちの温かさが好きなんです。
先日も生涯学習センターで台東区主催の壮行会を開いてもらいましたし、出身校の朝礼に参加してオリンピック出場の話をしてきました。地元の皆さんに小さな頃からずっと応援してもらったからこそ、今があると感謝しています。
フェンシングの魅力を存分に感じてほしい
最後に応援してくれる方にメッセージをお願いします。
パリ2024大会が、より多くの方にフェンシングを知っていただく機会になればとも思っています。フェンシングの迫力、魅力は映像を通してでも伝わります。テレビの前からもぜひ応援よろしくお願いします。
オリンピックでのメダル獲得はもちろんですが、僕はできるだけ長く世界のトップレベルでプレーし、世界一のフェンシングプレーヤーになりたい。子どもたちに憧れてもらえるようなプレーヤーになるという大きな目標があります。これからもその目標に向かって前進していきたいです。