インタビュー
道着が擦れる音、響く気合いの声。真剣な稽古が続きます。
日本で初めて開催される東京2025デフリンピック。出場する選手や支える方に、大会に向けた思いをお聞きします。
森こころ選手。現役高校生として学業と両立しながらデフ空手に打ち込む彼女の青春をかけた競技への思いとは。
空手を始めたきっかけを教えてください。
森選手:学校の近くに、ろう者が指導する空手道場が立ち上がったと聞きました。その時、同級生の友達がいたので一緒に行ってみたら「空手ってこういうものなんだ」と、気がつけば通い続けていたという流れです。
明るい笑顔が印象的な森選手。空手の団体形(だんたいかた)では、3人が息を合わせて同じ形を演武し、その同調性を競います。一人でも動きがずれれば全体の評価に影響するため、チーム全体の結束が重要です。そんな団体形で戦う森選手にとって、チームメイトの存在は欠かせません。
チーム内でのコミュニケーションで意識していることはありますか?
森選手:私が唯一言えることは、小さい時からずっと一緒に過ごしてきたということです。考えなきゃいけないことはやっぱり団体形なので、話し合うというコミュニケーションが必要になってきます。ずっと一緒にいる幼馴染だからこそ、初めてのように「言った方がいいのかな」「失礼なんじゃないかな」と思ったことがないです。思ったことを正直に、いろいろ伝え合えるコミュニケーションを大事にしています。
日本代表になる前となった後では心境の変化はありましたか?
森選手:将来自分の後輩や学校の後輩たちが「デフリンピックに行きたい」と思った時に、学校の先生に理解があると周囲のサポートが学業との両立につながります。そのきっかけを自分が作り、普及していきたいという気持ちがさらに強くなりました。
大会に向けてメッセージをお願いします。
森選手:今年のデフリンピックは日本で初めての開催であり、100周年の節目でもあります。キレイに100です!この機会に「ろう者は劣っていて、きこえる人は優れている」という優劣をつけるのではなく、「ろう者ってこういう人なんだ」「きこえないってどういうこと?」などを理解し、ろう者も対等である社会になっていけたらと思っています。デフリンピックの選手の私たちへの応援をよろしくお願いします。
プロフィール
・2024年 World Deaf Karate Championships2024 団体形 1位